友光雅臣(ともみつがしん)

1983年生まれ 東京生まれ東京育ち、天台宗僧侶11年目。
一般家庭出身だったが高校時代からの彼女が生まれ育ったお寺に入り出家。
比叡山延暦寺での修行を経て天台宗僧侶に。 現在は品川にある常行寺で副住職を務める。
大学入学とともにDJを初め、渋谷六本木を中心に活動。 アメリカのバーニングマン、グアテマラのフェスなどでプレイ。
2011年より寺社フェス向源を主催し仏教神道日本文化、キリスト教、現代アート、科学者との対話などあらゆる体験をミックスして「自らの源と向き合う」をテーマに主催。東京のみならず京都でも開催し、ニコニコ超会議やアメリカのバーニグマンにも出展。

佐野 碧(サノアオイ)

仙台出身、アジアで活躍するシンガーソングライター。

ふるさとを襲った東日本大震災が大きく音楽性を変え、2015年に発生したネパール大震災をきっかけに地元東北とネパールでの活動を並行して行うようになる。2016年よりネパールで毎年開催しているチャリティーフェスティバル『HIKARI SONG GIFT』には述べ5000人以上が参加。海外メディアでも大々的に取り上げられ、ゲスト出演したネパールの国民的人気番組「Namaste TV」のYouTube再生回数は125万回を突破。最新シングル『ただある声』ではカップリングでネパール語バージョンも収録。

作詞、作曲、プロデュースを自身で手掛け、その歌詞は、深い悲しみに寄り添いそっと背中を押してくれる。

友光雅臣(ともみつがしん) × 佐野 碧 スペシャル対談

雅臣(ともみつがしん) × 佐野 碧


佐野碧 今回は、境内でのインタビューということで厳かな雰囲気で緊張しています(笑)
友光さんは住職に限らず、DJや、寺社フェス向源の主催者と様々な顔を持たれていますよね。寺社フェス向源をはじめたのは東日本大震災がきっかけとお聞きしたのですが、当時の心境を教えて頂けますか?


友光雅臣 当時は修行を終えたばかりで、2010年の10月に結婚して翌年の2月12日に娘が生まれたんです。明日は1ヶ月の定期検診だねーなんて妻と話してたんですが、そんな時に地震が起きました。娘を抱っこしながら、とんでもないことが起きてしまったなと思いました。

自分は元々お寺の生まれではないですし、宗教者になりたいってよりは、就職も決まってなかったし、勧められてこの世界に入ったんです。修行を終えて、家庭もできて、子供も生まれて、お寺や家を守ることだけを考えようとも思ったんですけど、こんな大変な状況のときに何もせずにただ見てるだけだったら、せっかく宗教者になったのに、これから先どんなことが起きても理由をつけて何もしないんだろうなと思ったんです。

震災直後、何かしなきゃいけないなとは思ったんですけど、外からの情報に対してどうするかってことばかりで、自分の内側から湧き上がる感情で動いているようには見えませんでした。被災地に行って、ボランティアもしたんですけど、それはそれとして、東京でお寺にいるんだから、東京でやれることがあるなと思ったんです。宗教まで一緒になって何とかしましょうとか、頑張りましょうって言うのは危ないなと思ったんです。
仏教はこの状況だからこうしなきゃいけない、こう思わないときいけないとは言ってなくて、あなたの本当にしたいことは何なのか? 何をしたいかまではいかなくても、この状況に対して自分は悲しいのか、怒っているのか、一回自分と向き合う時間を作った方がいいと思ったんです。何かしなきゃと思ってぐるぐる考えていましたけど、自分にできることとして、お寺と組み合わせて、来て下さった方が自分に向き合える時間を持てたら良いなと思ったのが、イベントをするきっかけになりました。


佐野碧 向源のイベントはどういったことをされているのですか?


友光雅臣 お坊さんってみんな座禅をしているイメージがあると思うんですが、実は日本では座禅をしている宗派は半分くらいなんです。向源では様々な宗派の修行や、お花やお茶、書道などを体験できます。信者や生徒になって下さいねってことではなく、体験を通して自分の気持ちに気づいてもらえたらと思っています。例えば、書道の講座は、決まった文字の書き方を教えるのではなく、書きたい文字に想いを乗せて書いてもらうようにしています。「風」と書きたかったら、どんな季節の風か、柔らかいのか、荒々しいのか、想いを乗せて書いてもらいます。それは、書道だけではなく、お花や、お茶も同じです。上手にやろうとか、伝統をロールプレイングするのではなく、自分がどういうイメージにしたいのかってことを大事にしいてます。


佐野碧 向源のイベントはどのようにここまで大きくなっていったんですか?


友光雅臣 初年度は小っちゃく70人のイベントだったんですけど、150、300、2000、6000、15000人と来場者は年々増えていきました。


佐野碧 凄いですね、300人から2000人になったきっかけはあるんですか?


友光雅臣 実は300人になった時に義理の父にあたる住職から会場を変えてほしいと言われたんです(笑)
義理の父は、僕と方針が少し違くて、お寺は檀家さんからのお布施で成り立っていて、檀家さんではない若物に対して開くのは檀家さんに申し訳が立たないと。

そんなとき増上寺と関係のある浄土宗のお坊さんたちと話す機会があって、、本気でやる気があるなら、本気でなんとかするよって言って頂いたんです。そこで、やりたいです!って言ったら、分かったってなって。でも、その時、自分はまだ20代だったし、他の宗派の総本山でやるって決まったときは、帰り道ずっとビザが震えてましたね。


友光雅臣(ともみつがしん) × 佐野 碧


佐野碧 数を追うことで楽しくなくなったり、つらくなったりはしなかったんですか?


友光雅臣 2000人から6000人になったときは賛否両論が一番ありましたね。お前が気に入らないって言われましたし、すごい良かったと言ってくれる人もいたり。逆に15000人になってからは何も言われなくなりました。怒られることは減りましたが、同時に協力していただくことも少なくなったように思います。数字って怖いなって。

目標に追い立てられるように数字を求めていた時期もあって、向源というそもそものコンセプトから離れてしまったなと感じることもあったんです。それで次の年はあえて1000人規模に落としたりしました。ただ、数字を追うことが楽しくないって言ったら嘘になります。今でも数字が出たら嬉しい気持ちにはなります。でも、世の中数字が大事だから自分も一緒になって数字を出すぞ!って思っちゃうのと、時と場合で数字は使うけど、本当に大事なことは数字じゃないよってちゃんと自分が思えているかだと思っています。


佐野碧 世の中は数字だけど、本当は数字じゃないよって全く逆の考えだと思うのですが、友光さんの中でそこをどう整理しているんですか?


友光雅臣 それは、バーニングマンというイベントに参加したことが大きいですね。バーニングマンはアメリカの砂漠で毎年開催されるフェスなんですが、主催者側が用意しているのは極端に言うと燃やされるマンというオブジェとトイレだけなんです。あとは参加者がそれぞれに好きなものを持ち寄って表現するんです。ルールとして、お金は一切使用せずに、お互いにただ与えあう、心を開いて表現しあうんです。自分はそこで、DJをしたんです。はじめは流行りの曲や、みんなが喜びそうな曲をかけていたんですけど、誰も振り向いてくれたなかった。途中からもういいやと思って、自分が心から流したい音を出そうと思ってやってみたら急にみんながこっちを向いてくれたんです。例えば、ジャズからテクノ、クラッシックからハウスとか定石にはないような選曲をトライしていったら凄い良かったって笑顔で言ってくれたんです。本当に良いオーディエンス、環境に出会えたことで、わかりやすい数字や結果を出そうとせず、心のままに表現することが一番だって教えてもらいました。数字を追わないと、一時的に数字を失うけど、全然構わないやって経験をしたんです。


佐野碧 まさに外側ではなく、内側から音を出したときに変わったんですね。
最後に今後の目標や、夢はありますか?


友光雅臣 うーん(10秒の沈黙)
今はないですね。
今は自分に素直に生きてたいですね。
自分に嘘をつきたくないですね。


佐野碧 良いですね!はじめてこういった意見を聞きました。
夢があるから良い、ないから悪いってわけではないんですもんね。それすら固定観念なのか。なんだかとても心に響きました。
本日はお話し頂きありがとうございました。


〔infomation〕チャリティーイベント『HIKARI SONG GIFT in JAPAN -Charity Music Festival- Visit nepal × AOI SANO』2020年3月1日(日)有楽町よみうりホールで開催決定。

HIKARI SONG GIFT in JAPAN -Charity Music Festival- Visit nepal × AOI SANO

 

まもなく東日本大震災から9年、ネパール大震災から5年が経過しようとしています。
東日本大震災を経験した私たちだから出来ることとして、2015年のネパール大地震以降から始めたこのプロジェクト。
シンガーソングライター、佐野碧(さのあおい) がネパールで行ってきたチャリティ音楽フェスティバル『HIKARI SONG GIFT 』も、多くの方々のお力添えのもと、おかけざまで5周年を迎えます。5年目を迎え、国を越え、言葉を越え、互いが活かされ、更なる繋がりを深められるプロジェクトにして行きたいと思っております。

2020年からは日本でもこの活動を大々的に行って参ります。今回は東京 有楽町よみうりホールにて佐野碧やゲストアーティストによるライブをはじめ、日本の学生や留学生とも想いを共有した特別プログラムを実施いたします。様々な表現に触れる機会を持つと共に、日本、アジアから世界中の方々と交流を深め、お互いのふるさとやバックグラウンドを尊重し、一人一人の中にある光が輝ける場を創造することが本イベントの目的です。

学生や多くの外国人にも訪れて頂けるよう、入場無料の席を設けております。
本イベントを通じて集まった募金、及び収益金は、ネパールへの寄付に活用させていただきます。

 

HIKARI SONG GIFT in JAPAN -Charity Music Festival- Visit nepal × AOI SANO

日程 2020.03.01 (sun)
Open 13:45 / Celemony 14:15 / Live start 15:00


会場 有楽町 よみうりホール[YURAKUCHO YOMIURI HALL]
東京都千代田区有楽町1-11-1 読売会館7階


出演 佐野碧(AOI SANO)
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料金 入場無料[要事前申し込み]
チャリティーチケット:1,000円

※ご入場にはチケットが必要になります。無料チケット又はチャリティーチケットをお求めの上、ご入場時にご提示ください。

※チャリティーチケットをお求め頂いた方には会場前方にお席をご用意させていただきます。また、こちらの売上はネパールへの寄付に活用させていただきます。


主催 合同会社AOIFACTORY
HIKARI SONG GIFT プロジェクト


 

HIKARI SONG GIFT ウェブサイト
https://hikarisonggift.com/

 

佐野碧〔特設クラウドファンディング〕
https://aoisano.com/cf/