クリス・ブロード

仙台在住、Tokyo Creative所属。日本の知られざる魅力を外国人から見た視点で世界に向けて発信するコンテンツクリエイター。自身のYouTubeチャンネル『Abroad in Japan』は、全世界に125万人を超えるチャンネル登録者を有し、多方面に大きな影響を及ぼすインフルエンサー。食べ物や習慣、ご当地グッズに観光地の魅力などその内容は多岐に渡り、日本全国を自転車で旅するプロジェクトや、女川町、気仙沼市を訪れ、被災地のその後を取材した動画なども制作。現在はロックスター、HYDEのドキュメンタリー映像を制作するなど新たな試みも行っている。

佐野 碧(サノアオイ)

仙台出身、アジアで活躍するシンガーソングライター。2015年に発生したネパール大震災をきっかけに地元東北とネパールでの活動を並行して行うようになる。2016年より毎年開催しているチャリティフェスティバル『HIKARI SONG GIFT』には述べ5000人以上が参加。海外メディアでも大々的に取り上げられている。 学生時代は野球に明け暮れ、リトルリーグで女子初の東北選抜に選ばれるなど野球との関わりも深く、地元仙台ではプロ野球、楽天イーグルス戦で2度に渡り国歌斉唱の大役も務めている。2019年9月10日には、6thシングル『ただある声』のリリースが決定している。

クリス・ブロード × 佐野 碧 スペシャル対談

クリス・ブロード × 佐野 碧


佐野碧 元々日本の様子を伝えようと思ったきっかけは何かあったのですか?


クリス 日本へは一番最初、山形県の酒田市というところに英語の教師をするために来ました。そこで初めて日本の風景や日常に触れて、それを家族や知人に伝えたいと思って動画を撮ったのが始まりで、そこからこれは何かできるか知れない、もっと色々な人にこの素晴らしさを伝えることができるのではないかと意識したのが始まりです。


佐野碧 特にどういった部分に興味を持たれたのですか?


クリス 何かひとつということではなくて、日本の全部が面白いと思いました。日本人のコミュニケーションの取り方、ビルの形、食べ物もカルチャーも、今まで生きて来た自分の世界とは異なっていました。特に山形で最初に過ごした3年間は朝起きて、今自分はなんて変な家で寝てるんだろうって思うくらいすべてが新鮮で日本のすべての側面が面白いと感じていました。


佐野碧 海外に行き全てが新鮮という気持ちは、私もネパールへ行った時のことを思うと共感できます。日本人のコミュニケーションの取り方のどういった部分が新鮮で面白いなって思いましたか?


クリス 教師として学校にいるときずっと半袖を着ていたんですけど、「なんか寒そうだね?」ってずっと言われるんです。自分は寒くなかったので、全然大丈夫と思っていたのですが、本当は寒いかどうかではなくて、学校では長袖のシャツを着た方が良いですよっていう事を伝えたかったみたいです。変にポジティヴに言う事で相手を傷つけないようにしているのだと思うのですが、こちらとしては意図を汲み取ることができずに、ずっと半袖で大丈夫だよっていうコミュニケーションの取り方をしてしまいました(笑)


佐野碧 たしかにわかりづらいですね、でもなんかわかります(笑)。 良いか悪いかは別としてそういったストレートに物事をあまり言わない表現は日本にはあると思います。


クリス そういうところで日本人のコミュニケーションは難しいなと。本当に伝えたいことは何なのかっていうのを考えるのは、ある意味人を傷つけないことなのかもしれないけど、まわりくどいと思うこともありますね。


クリス・ブロード × 佐野 碧 スペシャル対談


佐野碧 本当に伝えたいことがわからない。そうですよね。言葉の奥ゆかしさとも言えますが、もっとシンプルに伝えて欲しいと思うことはあるかと思います。同じ日本でも東京と東北でパーソナリティーに違いを感じることはありますか?


クリス そうですね。西に行けば行くほど違いは感じますね。


佐野碧 海外の方に伝わっている日本人の印象は東北と東京どっちが強いのでしょうか?


クリス 海外の多くの方が感じている日本人の印象をポジティヴに見ると、人をケアすることができて、思いやりがあり、わがままは言わないってことです。それを少しネガティヴに捉えると内向的ということでしょうか。なので東京の人と比べるといわゆる東北の人の方が外国人が思う日本人の印象に近いと思います。


佐野碧 山形で生徒さんに接しているときにもそういうことは感じていましたか?


クリス 山形の学校は規律が取れていて、生徒もしっかりした振る舞いができ、意地悪な人がいないという印象を持っていました。それは私が勤めていた学校に限ったことなのかもしれませんが、目立って悪いことをしようとする生徒は見受けられませんでしたね。


佐野碧 クリスさんから見て、日本の教育現場はどのように映りましたか?


クリス 良い点を言えば均整がとれていて、喧嘩やいざこざを避ける文化があるので、将来日本の社会に馴染むという点では非常に良いのではないかと思います。規律がとれていて協調性を学ぶことで、犯罪も少なく調和がとれた平和な感じになっているのだろうと思います。ただ一方で、その人たちがその教育で国際人になろうと思ったとき、海外に移住したときなど自分でコミュニケーションを取って、自分を出していくというカルチャーには馴染みにくく、そういうところでは苦労するのではないかと思いました。私はクリエイターなので、そういった観点から見ても、自分で何かを作っていくとか、独自性を出していくといった部分では少し弱いのかなと思います。


佐野碧 海外の方から見た日本の話しは大変勉強になります。ちなみに、クリスさんは日本の方と喧嘩をしたことはありますか?


クリス 山形に住んでいたときの彼女と少ししたくらいですかね(笑)。仕事上に置いて喧嘩をしたことはないですね。言葉の壁もあるのでコミュニケーションがそこまで至っていないというのもあるかもしれないし、日本人の方から見たら私は外国人なので、そういった点で育ってきた環境や文化が違うということを認識してくれているのではないかと思います。


佐野碧 私はネパールに行ったとき、最初は喧嘩をしなかったのですが、最近はおかしいと思うことを相手に伝えるようにしているんですね。どうやっても変えられない文化や、カーストのことなど私たちでは触れられないこともあるのですが、それをどうやって越えて行こうかっていつも葛藤するのですが、クリスさんは日本に来て、日本のこういった部分には触れられない、タブーと感じている部分があれば教えてください。


クリス ビジネスに置いては多々あります。私はクリエイターとして自分のチャンネルのブランドや私のファンにとって何が良くて、何が大事なのかっていうのを知っているので、それに向けてクリエイティビティを注ぎ込むのですが、一部の企業や地方自治体などは、話し方はこうで、服装はこうで、髪型はこうでといった具合に全部を指示してきます。もし私がそれを受け入れてしまうと自分のブランドは守れないし、私のファンはそれを待っていないという事が分かっているので、自分は気にせずに「NO」と言います。それが嫌ならば、自分とプロモーションプロジェクトをやることは難しいと思うのでお断りをするというスタンスで取り組んでいるのですが、そういう部分で過去にはキツイと感じる体験がありました。自分が信じているコンテンツの方向性を尊重してくれなかったり、彼らにとってもベストだと思ってクリエイターとしてアドバイスをしていることも聞いてもらえない。最初は彼らのそういう意見も聞いた方が良いのかなと思っていた時期もあったのですが、今は自分のブランドを大事に「ここを変えてくれ」とか「ここをこうしてくれ」といったことを言われても「NO」と言うようにしています。クライアントがいる仕事であっても細かい制約を入れるのであれば、それを私に頼む必要はないのではないかと考えています。そういった面でカルチャーの違いを見ることは多々ありますね。


クリス・ブロード × 佐野 碧 スペシャル対談


佐野碧 女川町、気仙沼市を訪れて制作された『What Happened In Japan After The Tsunami?』を視聴したときに、ある意味テレビではあまり見られないような内容なのかなって思いました。今話しを聞いて自分を曲げずに作っているんだなってことですごく共感が持てました。まだまだ原発の問題などもあると思いますが、これからどのようにして東北と世界をを繋いでいきたいと思いますか?


クリス あの動画を作ったときに伝えたいと思ったことは、津波がきたということは変えられないことだし、こんなにひどい災害は本当にあってはならないことだけど、それを超えた後に仙台や東北にも少しの幸せが出て来ていて、そういうことを乗り越えようとしたときには今までよりももっともっとポジティヴな空気がそこには流れていて、みんなでなんとかしようっていうところを自分もすごく感じたし、それをストーリーにして伝えていくことで、そこに生きている方たちが何かひとりひとりそれぞれが小さな幸せをみつけて、ちょっとでもポジティヴにして行こう、日本ではこんな風に頑張っているよっていうのを海外の人たちに伝えようと思って制作しました。 あの動画でインタビューをさせて頂いた方たちは悲観的になることなく、未来へ未来へということをメッセージとして伝えてくれたので自分でも良い動画ができたと思っています。


佐野碧 原発などの問題がある中ででそういうポジティヴなところを切り取る外国の方っていうのはなかなかいないと思うし、そこに踏み込んだ人もいなかったと思います。そういう面での葛藤はなかったですか?


クリス 海外の方たちにもそれぞれの考えがありますが、あえてそこには触れないようにしていて、それはなぜ触れないかというと、自分が日本に住んでいて大丈夫だっていう状況がそこにはあるので、それをあえて触れるとまたコミュニティが騒ぎ始める可能性があるので、そこは大丈夫だという前提であえて触れません。その大丈夫だというのを伝えるために自分は東北のコンテンツをこれからも作り続けますし、それはネガティヴな部分ではなく、東北で感じられるポジティヴなコミュニティの空気感や、良い部分、楽しいところ、素敵だなと思うことをコンテンツにしていきたいと思っています。最近はだいぶ減ったのですが、あの動画をアップしたとき実は、ネガティヴなコメントもたくさんありました。一部のエリアはもしかしたら危険かもしれないけど、そうじゃない場所もたくさんあるし、そこにある真実を伝えたいと思います。色々な誤解はあるかもしれませんが、自分は東北に住んでポジティヴな動画を作ることで拭っていけたらと思いますし、それは自分がやらなくてはならない事だと思っています。


佐野碧 自分が実際にそこに行き情報を集め確かなことを伝える。とてもステキですね。コンテンツクリエイターとして夢や今後こうして行きたいと思っていることはありますか?


クリス フィルムメーカーとしてコンテンツを作り続けていきたいと思います。エンターテインメントとしても面白くて、さらに何か学びがある、気づきや理解を深めた中でドキュメンタリーのようなコンテンツを作っていきたいです。自分が有名になるということは求めていなくて、フィルムメーカーとしてコンテンツが前に出て行くような感じで活動して行きたいなと思っています。


佐野碧 日本も副業がOKになったりして、これから先どんどんマルチで活躍していく方が増えていくと思うので、そういう中でこういう活動をされているクリスさんはすごく素敵だと思うし、日本の若者にも夢を与えられる存在だとと思います。今日は本当にありがとうございました。


クリス そうなれるように頑張っていきます。こちらこそ今日はありがとうございました。


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〔infomation〕クリス・ブロードも所属するTokyo Creativeとは?

Tokyo Creative

Tokyo Creativeは日本在住の海外向けトップインフルエンサー、クリエーター、エンターテイナーが集結するグローバルコミュニティ。

2017年よりデジタルマーケティング領域を中心に活動を行い、他に類を見ない海外への情報発信力で、Uncovering Japan to the World - 日本人も知らない「Nippon」を世界の片隅まで! - をテーマに知られざる日本の側面を海外に向けて発信。外国人YouTuberを活用し地方創生へ向けたインバウンド分野におけるマーケティングを支援する次世代の日本のインバウンド業界を牽引するクリエイティブコミュニティカンパニーです。総フォロワー数1,300万超えのトップインフルエンサーとグローバルなクリエーターが日本に関するあらゆる情報を伝える様々なチャネルを運営しています。

 

Tokyo Creative WEB SITE
https://www.tokyocreative.jp/

〔infomation〕佐野 碧 - 6thシングル『ただある声』2019年9月10日リリース

2019年9月10日に、6thシングル「ただある声」を発売することが決定しました。シングル発売を記念して仙台、福島、東京、大阪で、発売記念ライブを開催します。また、英語字幕で、ネパール語バージョンのミュージックビデオを制作し、世界中の方々にただある声を届けます。皆様のお力添えをいただきたく特設クラウドファンディングも実施させていただいております。

 

佐野碧 6thシングル
『ただある声』

-収録曲-
01.ただある声
02.ただある声(ネパールver.)
03.ただある声(カラオケver.)

フォーマット:CD(8Pブックレット付)
発売日:2019年9月10日(火)
価格:1200円(税込)
発売元:AOI FACTORY records

 

特設クラウドファンディング
https://aoisano.com/cf/